私が小学生の頃、通学路だった桜木市営霊園のバスロータリー周辺を、毎朝欠かさず掃除している一人の男性がいました。
その方は、霊園入口近くにあった蕎麦店「和泉や」の店主さんでした。小柄な体格ながら、とても大きな声で「おはよう!」と笑顔で声をかけてくれる、地域の子どもたちにとって親しみ深い存在でした。父とも親交があり、家族でおいしいお蕎麦を食べに行ったことを覚えています。
ある日、私は店主さんに尋ねました。
「どうして毎日掃除をしているのですか?」
すると店主さんは笑顔でこう答えてくれました。
「これからみんなが学校へ行って勉強する前に、たくさんのゴミを見ていたら、せっかく勉強して覚えたことがゴミになって忘れちゃうだろう。」
子どもだった私には不思議な言葉でしたが、その優しさと地域への思いは強く心に残りました。
今でも、その言葉を思い出します。
私は現在、子どもたちの登下校を見守るセイフティウォッチャー活動を行っていますが、その前に通学路のゴミ拾いを続けています。それは地域をきれいにするためだけではありません。子どもたちが気持ちよく学校へ向かい、地域への愛着や思いやりの心を育んでほしいという願いがあるからです。
私を育ててくれた桜木への感謝の気持ちを忘れず、これからも地域のためにできることを一つひとつ積み重ねてまいります。




